赤いペン

楽しみな作家さんがデビューされました。
デビュー作は・・・

「赤いペン」 作 澤井美穂 絵 中島梨絵
フレーベル館 1512円 (小学校高学年・中学から大人まで)
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「そのペンは、人間に何かを書かせて、いつのまにか消えてしまうんだって」
町でささやかれる、不思議なペンの噂。
「赤いペン」の噂を調べることにした夏野は、友達に手伝ってもらいながら、
実際に赤いペンに出会った人たちに話を聞いてまわります。
赤いペンの役割とは何か? 赤いペンの真実とは?
ラストにすべての謎が明かされます。。。

この本のキーワードは「物語」です。
一つひとつ、物語のかけらを拾い集めていく夏野たち。
赤いペンはそれを拾った人の、心の奥底に押し込まれてしまっていた、大切な物語を引っ張り出してくれるのです。
ラストがまた良かったです!
文章の流れに多少気にかかるところはありますが、「そんな細かいことは置いとこ」と
思える素敵な物語でした。
亡くなった私の大切な人たちがどこにいるのかも、はっきりとわかりました。
私にとって一番納得のいく答えをもらった気がします。。。

 

 

水木しげるの妖怪なぞなぞめくり!

おもしろい新刊絵本が出ました。
子ども達が楽しめること間違いなしです!

「水木しげるの妖怪なぞなぞめくり 家の中の巻」
「水木しげるの妖怪なぞなぞめくり 山里の巻」(共にこぐま社・1296円)
(「?」マーク形の切り抜きがあるケース入り)3歳位から大人まで

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くつや ぞうりを ぬぎちらかしていると、よなかに やってくる。
「♪カラリン、コロリン、カンコロリン」と うたいながら・・・。
さて、このようかいは なあんだ?

めくり仕掛けになっていて、めくると答えがわかります。
もちろん、しっかり水木さんの妖怪の絵が描かれています。
遊びながら妖怪の勉強も出来ますよ。

私は妖怪の存在は大切だと思っています。
24時間明るくて「隙間の暗闇」が減っている現在、妖怪の居場所も減ってきています。
見えないものに対する怖さは、自然界に対して畏怖の念をいだくことに繋がっていると思うのです。
大人は人間が一番だと自惚れがちですが、子ども達は違います。
自然界の目に見えない力に対して、ちゃんと本能的な畏怖の念を持っているのです。
「妖怪?あはは。そんなんいるわけないやん!」な〜んて言ってたら・・・

<文字のない絵で楽しむ絵本>

「セイウチくんをさがせ!!」
スティーヴン・サヴェッジ 作 評論社

飼育員さんが居眠りをしている間に動物園から逃げ出したセイウチくん。
捕まえようとする飼育員さんから逃げ回るのですが・・・
まるで映画「逃亡者」のように、ギリギリの所まで接近する二人。
みんなにはセイウチくんがわかるかな?

文字が無くてもしっかりとストーリーがわかる楽しい絵本です。
最初のページの「ウインクするセイウチくん」のドアップの絵が素敵です。
ハッピーエンドのラストも良かったです。

(3歳から大人)
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引きうける生き方(安田未知子・著 WAVE出版)

古くからの友人である「ともさん」から、紹介してもらいました!
友サンタへようこそ
かれこれ、23年の付き合いか!?
私の乙女時代を覚えてくれているのかどうかはわかりませんが、
お互いやたら人生に熱かったなぁ・・・(笑)
それぞれの道を歩みながらも、いまだに付き合いがあるのは嬉しい事です!

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帯に書かれた細かい字には『戦後、教師として不遇な環境の子43人を引き取り、現在は介護老人保健施設の苑長としてお年寄りを励ます。毎朝、数時間は悩める人の電話相談。しかしその間、わが子の死、生死をさまよう大病もあった・・・。』とある。

とても読みやすい文章なので、いっきに読んでしまったが、沖縄における戦前、戦中、戦後の実体験には心が揺さぶられ続けた。

私も生まれ育った宮崎から、日本復帰前の沖縄に、小学校三年生で転校した。最初の小学校では、明らかに米兵との間に生まれただろうと思える子達と学び遊んでいた。その同級生たちが、現在どのような人生を歩んでいるか、分かる術はない。しかし、この著者のような素晴らしい先生に出逢い、学び、世の中に貢献している事を願う。

そして、できるだけ多くの方々に、この本を読んで頂き、戦争の愚かさを知ってもらい、辺野古(へのこ)の海に新たな基地が出来ることのないように、そして、次々と現存の基地が縮小して行くように、願ってもらいたいものである。

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知ってましたか?「児童移民」を。

「希望の海へ」
マイケル・モーパーゴ作 佐藤見果夢訳 評論社

「児童移民」はイギリスとオーストラリアで決められた「政策」だったというのですから驚きです!
第二次世界大戦後、白人労働者を増やしたかったオーストラリアと、対処しなくてはいけない子どもたち(戦災孤児等)を大勢かかえたイギリスが、両国の問題を一挙に解決する方法とし
「児童移民政策」が推進されたのです。
しかもしかも、「児童移民」自体は、17世紀から行われていたことでしたが、両国首相の謝罪が行われたのは、2009年11月と2010年2月なのです。
その実態が埋もれていたのです。
長年に渡って、こんな悲惨な事が行われていたとは!!!

主人公のアーサー・ホブハウスは、幼い頃家族と引き離されて、イギリスからオーストラリアに何も知らずに送られました。
そして、大勢の子ども達と一緒に奴隷のように使われます。
ある日、ついに友達と脱出しますが・・・

前半はアーサーの物語。後半は・・・(ここで明かしたくない!)
二部構成になった、実話をもとにした物語です。

この作者の本は初めて読みましたが、感動しました♪
(中学生から大人まで)

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