NO.6(ナンバーシックス)

やっと最後まで読めた!
「NO.6」 全9巻 あさのあつこ著 講談社(小学校高学年から・中学生以上なら尚おすすめ)

2003年に出版された時に面白くて読み始めたのですが、約1年に1巻のペースでしか出なかったので、2008年に出た7巻目で止まってしまっていたのです。
8巻目を読み始めた時にはそれまでの話を覚えていなくて、「これじゃあもったいない。完結したら最初から読もう。」と決めました。
2011年に完結しましたが、今まで手付かず。
その間に、文庫が出るわ、コミックが出るわ、アニメ放送はされるわで、
私より子ども達の方が知っているという状況になってしまいました。
でも、この物語にはなぜか魅かれていたので、やっと今年の2月から読み始めました。

あさのあつこさんの作品との出会いは「バッテリー」シリーズです。
そしてその「バッテリー」の映画が上映される少し前に、あさのさんの講演を聴きました。
あさのさんと私に、唯一確実な共通点がありました。
「少年好き」という所です。
不安定だけど、危険なほど真っすぐな、不器用な少年たち。
あさのさんの話を聴いている途中に、
あ、私って「少年好き」やったんや!
と気が付いたのです。
あさのさんが描く少年たちは素敵です。
「バッテリー」の、巧(たくみ)にはもちろん魅かれますが(映画の巧は、私にはあかんかった〜(笑))
私は「NO.6」の、紫苑(しおん)とネズミ(*少年です)に魅かれます。
特にネズミ!

・・・少年の話ではない。本の紹介でした(汗)

理想都市、聖都市として創られたNO.6。
その理想郷が、少しずつ歪んで行く。
でも人々は「充分なモノ」を与えられる事に慣れきってしまい、「幸せな人生」を与えられる事に慣れきってしまい、自分で考える事をしなくなっていた。
エリート社会で生きていた紫苑と、その外側で生きて来たネズミ。
相容れない二人が出会った時、崩壊と再生が始まる・・・。
(因みにシリーズ累計100万部突破のSFシリーズだそうです。)

人が大量に殺されたりする場面(?)があるからか?私の周りでは好みが分かれます。
特に沢山児童書を読んでいる人には不評だったりします。(私の周りだけの狭い範囲です)
でも、私は好きなんです〜♪
とんでもない現実にいるのに、二人の少年たちは「生きる」のです!
後悔や、憎しみや、愛を抱えたまま、
自分の意志で生きるのです!
少年のままで生き抜くのです!
純粋無垢な紫苑と、恨みを溜め込んで生きて来たネズミ。
お互いに魅かれあう二人。
でもネズミはそれを認めない。(ほんとは自覚しているのに認めたくない)
全く違う二人は最後まで相容れないのですが、私から見たら、充分に「共に生きている」のです。
そこにクイクイ魅かれていきました。
昨夜読み終えた後、しばらくボーっとしていました。
二人の事を想いながら眠りに付きました。
ちょっとした寂しさを感じながら・・・。

こういう長い物語を読むと、そこに行っている時間が多いから、別れるのが辛くなる時があるのです。
もっと二人といたかったなぁ・・・。
でも今朝、素敵な言葉をもらいました。

「物語は、「私の心のポケット」にしまい込まれた」のだと。
そして「「自然に」出てくる」のだと。

胸に染みました。。。
紫苑とネズミは、私の中で私が生き続ける限り一緒に生きる。
いえ、私と混ざったのかも(笑)
本を読み終えた時に別れたのではなかったのですね。。。

話は「少年好き」に戻りますが(笑)
最初に惚れたと自覚があるのは、今から20年程前。
「乱世山城国伝」(後藤竜二・著 新日本出版社 中学生から)の九郎です。
九郎の話で、同業者の仲良し店主(もちろん女性)と盛り上がったのをハッキリと覚えています。
「九郎!カッコイイですよねーーーー!」
「カッコイイ!カッコイイ!」
「最高ですよね〜💛」
「惚れるよね〜💛」
「男前やし!」
「そうそう!」
後で思ったのですが、どこに容姿が描かれていたのか(笑)
中学生以上の読み物で挿絵は一切ありません。
人物像は物語から伝わりますが、顔までは・・・。
なのに二人共自分勝手な九郎を存在させてしまっていたのです。
きっと二人が思い描いている九郎は、全く違う人物だったことでしょう(笑)

他には、「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子・著 講談社 中学生から)の、連(れん)と新二(しんじ)。
陸上の話です。
これも読んでからしばらくの間は、「連と新二」「連と新二」と言いまくっていました。
これ以来、4K(100M×4)にハマりました。朝原さん達が北京オリンピックで銅メダルをとった時は号泣でした。

それから、「ダイブ」(森絵都・著 講談社 中学生から)の、知季(ともき)と飛沫(しぶき)と要一(よういち)。飛び込みの話です。これもラストは良かったな〜。
これまた今でも飛び込み競技には注目してしまいます。

もうやめます。

夢中になってしまいました・・・(汗)
でも、もっともっと紹介したい人達がいっぱいいます!
少年だけでなく、いっぱいいます!
個性バラバラ、いっぱいいます!
人間以外も、いっぱいいます!

みんな、私のポケットにいるのかなぁ・・・

NO.6

「王への手紙」

不完全燃焼!
昨日は、京都私立朱雀第四小学校へ保護者の方にお話に伺いました。
普段は絵本の話をする事が多いのですが、今日は「読書」についての話だったので、
読み物(児童書)の話も出来るとウキウキして出かけて行きました。
ところが・・・
本の話をすると止まらなくなる私。
頂いている1時間半が足りなくて、大好きな「王への手紙」の話が出来ませんでした。
久しぶりに児童文学を伝えられる機会だったのに。
そこまでたどり着かなかった(泣)
不完全燃焼なので、ここに書くことにしました。

「王への手紙」上・下 トンケ・ドラフト作 西村由美訳 岩波書店(中学生~)
は、私の生き方を変えた大切な本です。

ーーー 騎士になるための最後の試練の夜。16歳の見習い騎士ティウリは、見知らぬ男に重要な手紙を託された。思いがけない使命を与えられ、大山脈のかなたの隣国へと向かったティウリの行く手には、陰険なスパイやさまざまな陰謀が待っていた。。。---

10年前に読んでから、確実に人生が変わりました。
私の好きな冒険ものなので、読み始めたら止まらなくなる面白さでした。
ラストも素敵でした。

読み終えて幾日か経った頃、ハッとしたのです。
「たった16歳の少年が隣の国の王様に内密の手紙を届けるなんて、とても出来そうにない事をやる羽目になったけど、ティウリがやった事は、いつも「目の前のこと」に対してだけやったんちゃう!?」
途方もない目標へと矛先は向けているけれど、彼がやったのは「今、自分の目の前にある事をどうするか」。
ただそれだけ。
それが結果へと結びついていく。

彼に出会うまで、夢を持ったり目標を持ち計画を立てることばかりが大事だと思って生きていましたが、そうではなく、「今、自分の目の前にある事を精一杯やる」事が大切な事だったと、彼から気付かせてもらいました。

その時から、私の仕事の仕方は変わりました。
「損得」を基準にしなくなりました。
大きな仕事であろうが雑用であろうが、目の前にある仕事を目の前にある順にやっていくようになりました。
すると、暇だった当時は、「今日の仕事」が午前中で終わってしまいます。
そしたら午後には「今、見えている明日の仕事」をやりました。
次の日には「今、見えている今週の仕事」をやりました。
その次の日には「今、見えている今月の仕事」をやりました。
すると、「今、見えている未来の仕事」が全部終わってしまいました。
もう、やる事はありません。

どうしょ・・・やる事なくなったで。

その時電話が鳴り、仕事が入って来ました。
しばらくするとまた電話が鳴り、別の仕事が入って来ました。
次の日も、また次の日も。。。

それ以来私は過去にやっていた「目標設定」を完全に止めてしまいました。
私の場合、自分の設定よりも「お任せ」の方が、はるかに面白い人生になっていきます。
私が考えられない素敵な所へ導かれていきます。
でも自分に正直である事は大事です。
「こんな風になりたいな〜♫」という「設定」をして、あとはお任せ。
やる事は「今、目の前にある事」だけです。
目の前にある事が、自分の設定とかけ離れた事のように思えても、
実はそうではないんですよね!
全ては完全に結びついていくのです。ある一点に向かって。
すごいです。感動します。

私はティウリから「宝物」になるメッセージをもらいました。

もちろん、世の中の人がみんな「王への手紙」を読んだら大きな「宝物」をもらえる、
なんてことは全く思いません。
そうではなく、
児童書っていいよ。すごいよ。素晴らしいよ。
という事が言いたいのです。

「生まれてきてよかったんだ、と子どもにエールを送るのが児童文学」

有難いことに、私はエールを送られ続けています。
「物語の力」のおかげで何度人生を救われたことか。

「物語の世界」は遊びに行くところです。学びに行くところではありません。
だからこそ、素敵なことが起こるのです。。。

(ちょっと、スッとした。)

王への手紙トンケさんの挿絵もいい!

 

マックス絵本との再会

15年振りの再会!マックスシリーズ。
「まいごのマックス」
「ごきげんマックス」
「しっぱいマックス」
「ほのぼのマックス」
「おかしなマックス」
「パイロットマックス」
さく・ナジャ やく・今江祥智 BL出版 各540円 (4・5歳から大人)

初版は2001年。
うそやーーーーっ!
もっと昔なはず〜

と思ったのは、店が伏見にあった時に出会った記憶があったからです。
西京区の今の場所で再開したのは確か1999年4月のはず。
「マックスは伏見の時に置いてたで〜」というのが私の記憶。
まあ、そんなことはどうでもいいのですが。

久しぶりに発注してみたら、入荷したやんかー!
もう品切れになっているやろなと、思っていたのです。
だって、どこの本屋さんでも見たことないし、噂も聞いた事ないし。
なのになのに、出し続けているBL出版さん!すごい!すごい!
めちゃくちゃ儲かっている出版社とも思えないのに(失礼なことを。お許しください!)
なのにずっと15年間も出し続けておられるなんて。。。

売りたい!売るぞ!
だって好きやもん!

15年振りに読んで、昔以上に感動しました。
なんという優しさ。。。泣きました(笑)
今、この歳になって、しみじみと感動するおすすめは「まいごのマックス」と「しっぱいマックス」です。
多分、私の人生が「まいご」と「しっぱい」ばかりだからだと思います(泣)
普通絵本は32ページ前後が多いのですが、なんとこの絵本はたったの16ページです。
たった16ページにきっちりと物語が展開しているのです。
特にラストが、私は最高に好きです。

「まいごのマックス」では、まいごになったマックスにばったり出会ったお友達のルルくんが、
マックスの涙をなめてから、「これでも食べて元気を出して」と、二人(二匹)でお菓子を食べます。
そう。
こんな時にそんな事で問題は解決しません。
でも、だからこそ、ちゃう、それでも、このルルくんの行いが、私は嬉しい!
身に染みて嬉しいのです。

昔、私も人生の迷子になった時、こんなルルくんみたいな見ず知らずのおっちゃんに出会ったなぁ・・・
名前も知らんおっちゃんに、生涯忘れる事が出来ない「優しさ」をもらいました。

おっと、話がそれてしまいましたが、
そんな事を思い出させるような、私の好きな隠れた絵本シリーズです。

(せやけどこれ絶対、今江さんの訳がナイスなんちゃう?原作読んでないけど・・・)

マックス

★「おかんとおとん」先行予約販売・特典つき

人気作「おかん」「おとん」の続編
「おかんとおとん」が2016年の4月に発売されます!
(平田昌広・作 平田景・絵 大日本図書 予定価格1500円)

発売に先駆けて、先行予約の受け付けスタート!
★作家のサイン&えほん館オリジナル特典つきです★

サインはイラスト入りで、まるで一つの作品のようです。
ご希望に応じて宛名も入れてくださいます。
えほん館オリジナル特典は「描きそんじ原画」です。
原画は普段目にすることは出来ますが、
「描きそんじ原画」はめったにお目にかかれません(笑)
いえ、本当にプレミアものです。

2016年3月20日 予約締め切りです。

ご希望の方は、下記の申込用紙にご記入の上、
FAXまたはメールでお送りください。
FAX(075)383-4810
メール ehonkan1987@yahoo.co.jp
お電話でのご予約も承っております。
TEL(075)383-4811

またとない機会ですので、どしどしお申込みくださーい♫

★えほん館おかんとおとん予約票

おかんおとん

<未来のだるまちゃんへ>

未来のだるまちゃんへ <未来のだるまちゃんへ> かこさとし著 文藝春秋

えほん館に加古さんの娘さんがご来店くださったのは、2年前の夏のことでした。
出張に伴う偶然のご来店でした。
業界の人かな?と思いながら少しお話した後、「失礼ですけど、業界の方ですか?」とお尋ねしたら、
「加古の娘です。」
?????
かこのむすめ???
数秒置いてやっと時間が動き出した私は、もう、びっくり!!
「えーーーーーっ!加古さんの娘さんですかーーーーーっ!」
その後はもうお祭り騒ぎでした(笑)
仕事のついでにせっかくだから地元の本屋さんに行ってみようと、パソコンで調べたら、えほん館が出てきたとのこと。
小さな店に加古さんの絵本が並んでいるのを心から喜んでくださり、その後お手紙と一緒に加古さんのサイン本を送ってくださいました。
文中の「父に話しましたところ」という言葉に舞い上がってしまいました!

加古さんが、えほん館を認識してくださった歴史的瞬間やー!

と、感動して泣けてきました。
こんな日が突然訪れるなんて・・・
えほん館を続けて来て良かったと心底思いました。
私にとってこれは本当にすごい事なのです。。。

今年の9月17日にMBSのvoiceという番組で加古さんのインタビューが放送されました。
http://www.mbs.jp/voice/special/archive/20150917/
加古さんの「生き直したい」という言葉に涙が溢れました。
なんという重い言葉か・・・。
飛行機に乗り戦争に参加しようとしていた事を心底悔い、残りの人生を子ども達の未来の為に生きようと決心された加古さん。
これだけの素晴らしい作品を生み出され、子ども達に真の豊かさを与え続けておられるというのに、昨今の日本の流れを憂い、ご自分のやってきた事は「失敗だった」と。。。

先日大学の授業の中の「絵本作家」の回で、加古さんの事を取り上げ、学生達に加古さんのインタビュー映像を見てもらいました。
ーこんな体験からこんなふうに思って絵本を作っておられる作家さんがいるー
それを知ってもらいたかったのです。
学生達は、私の予想以上に様々な事を感じ、受け取ってくれました。
嬉しかったです。。。

<未来のだるまちゃんへ>の中にこんな言葉があります。

「ただ、大人はあくまで裏方でね。あんまりあれこれ言わない方がいい。消えている方がいい。僕はそう思います。人間だって生物だということを忘れないでほしいのです。子どもたちも生きようとしている、その生きる力をどうかみくびらずに信じてやってほしい。
近ごろは、親御さんが過保護なのか、心配性なのか、子どもにあれこれ構いすぎる感じがします。僕は「大人は、大人のことをしっかりやれ!」と言いたいですね。
大人としてやるべきことをきちんとやらないで、子どもをどうにかしようたって、出来ない相談でね。子どもには大人の代わりは出来ないように、大人は子どもにはなれないのですから、まずは自分が一個の大人として立派にやってくださった方がいい。
そうずれば、子どもたちは、いつだって見事な大人を観察しては、ひそかにみならって努める素晴らしい生物なのです。」

心して生きようと思いました。